「違うよ...」



「えっ?」



何だか、無性にイライラしてこの感情を庄司君にぶつけたくなった。



「庄司君なんて待ってなかったから!6年も付き合ってる彼氏に浮気されてイライラして家飛び出してたまたまここに来ただけだし!何嬉しそうにしてんの?バカみたい!」



ははっと空笑いをした後に急に虚しさが押し寄せる。



これって完全なる八つ当たりだ。



そんなことしたって意味がないのに。



でも、ちょうど良かったんだ。



これで庄司君はなんてバカ女に声をかけちゃったんだろうって気づいたはず。



遊ぶ女だとしてもこんな女めんどくさいもの。



これで良かったんだ。



「泣いても良いんですよ。」



「えっ?泣くわけ...」



「だって、夏奈美さん泣きそうな顔してる。」



...何でわかるの?



私でもわからなかったこと。



あぁ、私...泣きたかったんだ。



本当は桂史に浮気されて悲しかったんだ。