前に1度だけ終電を逃して月子と行ったマンガ喫茶へ向かうことにした。



会員カードあったっけと財布を開く。



「夏奈美さん!」



その声にはっとする。



そうだ。



桜町って...



「夏奈美さん来てくれたんですね!ありがとうございます!」



満面の笑みで駆け寄ってくる庄司君。



庄司君のことなんてすっかり忘れていた。



でも、時刻はまだ22:20。



何で早く来てるの?



「夏奈美さん早く来たら困ると思って球場からタクシーで急いで来たんですけど、やっぱり待たせちゃいましたね。すいません。」



バカじゃないの?



私来るなんて一言も言ってないのに本当に来るなんて...



「夏奈美さん?」



ただ黙って見つめているあたしを庄司君は心配そうに覗き込む。



「...違うよ。」



あたしなんか心配するなんてバカみたい。