あたしと王子とバカ

「はぁ、疲れた。」



そんな台詞を言いながらバカが帰って来た。



疲れたってずっとスロットしてただけじゃない。



しかも、何にも言ってこないってことはどうせ負けたんでしょ。



「いい加減」



「風呂入ってくる。」



働きなよって私に言われるのがわかったのかそそくさと風呂場へ向かう。



もぅ!



そうやって都合が悪くなるといつも逃げるんだから。



ポンッとソファに投げられたジャケットを拾う。



服もいつも投げっぱなしなんだから!



ポロッ。



その時、胸ポケットから何かが落ち、拾い上げる。



えっ...



落ちたものはマッチ。



『hotel フォレスト』



そう文字が書かれていた。



これって...



ラブホのだよね...?



そう思った瞬間私は脱衣場のドアを開けていた。