「ちょっと...!」



焦る私に月子はウインクをして去っていった。



「もしもし...」



諦めて携帯を手に取る。



『お疲れ様です!今、お昼休みかなと思ってかけちゃいました!』



陽気な庄司君の声。



何もかもが嘘に聞こえてしまう。



「もう連絡してこないで。」



『えっ?何でですか?』



急にトーンダウンする庄司君の声。



これも演技だよね?



「庄司君って野球選手なんでしょ?」



『...』



「遊ぶ女の子探してるなら他の子あたって。」



言いたいことは言った。



もう切ろう。



『待って下さい!』


それを察したのか庄司君がそう引き止める。



『僕夏奈美さんのこと本気です!今日えっと...試合があるから11時に桜町駅で待ってます!何時まででも...』



プツ...



まだ続きそうな庄司君の言葉を遮るように電話を切った。



どうせ嘘に決まっている。



待ち合わせに行ったっているわけがないんだから。