「じゃあ、行きますか。」



そう言ってスタスタと歩き始める。



180センチ以上ある男の子の歩幅はいくら一般女子よりも背が高めの私でもついていけない。



少しずつ距離が離れていく。



これってもしや逃げるチャンス!?



「あっ、すいません!僕歩くの早かったですか!?」



男の子は慌てて戻ってきた。



...作戦失敗。



「予約していたショージです。」



連れてこられたお店はビルの最上階のお洒落なイタリアンレストラン。



雑誌で見て行きたいと思ってた所だ。



まだバカが働いていた時に行きたいと言ったら無理と断られたんだっけ。



「オススメのコースで予約してたんですけど良いですか?」



その質問に私は頷く。



こんなレストランに来るのが初めてなあたしがメニューを見たってなにが良いか分かるわけがない。



それにしても若いのにこんなお店に連れて来るって一体何者何だろう。



確か雑誌にはなかなか予約が取れないって書いてあったし。