「藤田さんっ!そこのレニベースと駆血帯とって‼‼」


「はいっ」


「採血行ってくるからナースステーションお願いね!」


「わかりました。」


パタパタと先輩ナースが駆けていく。


看護士になってから4年の歳月が流れ、私は29歳を迎えようとしていた。


看護士になって彰哉の様に手遅れになってしまう人を一人でも減らしたかった。


今は大阪府内にある大きな病院に勤めている。


大阪に行けば、もしかしたら彰哉がいるかもしれない。


そんなこと、あるわけないのに。
彰哉が死んでしまってから20年もたとうとしているのに。


私の目は気が付けば彰哉の姿を探していた。