そっとセイジュを背中から抱きしめた。

かよわい一輪の月見草を抱きしめるように。

セイジュは孤独で寂しかったんだと、その涙が全てを物語っていた。

だけど全てを許した彼は、決して弱くない。

「セイジュ、大丈夫だよ。ママは必ず還ってくる。だってママは永遠の愛を持ってる。永遠に愛されて、永遠に愛するの。そんな相手に巡り逢えたから、ママは強いの」

「“永遠の愛”…か。ファントムの血を持って生まれ、月の一族にも捨てられたオレは、そんな相手に巡り逢えるだろうか?」

トクン、と体が震えた。

突然湧いてきた一つの想い。


『セイジュの永遠の愛の相手が―――わたしなら、いい』


美月……なんで、なんでそんなこと想うの……!?

自分に問いかければ問いかけるほど、混乱して頭が真っ白になる。



神様、月の神様。

問いかけた神は、ただ沈黙するだけだった。



だけど、少しずつ…少しずつ。


月の鼓動が聴こえてくる。


トクン…トクン……トクン………!


月が、わたしに愛を思い出させる。


少しずつ、淡い月光の中で。


もうすぐ……もうすぐ。