「…父さん?」

「10年前。まだ8歳のお前を私たちはこの村から追放した。お前も気づいていただろうが、お前は私たちの本当の息子ではない。村に捨てられていた赤ん坊のお前を拾って育てたのは妻だが、だんだんとお前のその髪が蒼色に変わるにつれて私たちは確信した」

セイジュは伏し目がちに父の話を淡々と聞いていた。

「……お前ももうわかっているだろう?」

セイジュは蒼い瞳をしっかりと見開くと、父をまっすぐに見据えて言った。

「…はい、父さん。オレはファントムの一族の血を受け継ぐ者です」

………セイジュが……ファントムの………!?

セイジュを見上げると、彼は口の端を少し上げて笑った。

「私は月の一族からつまはじきになることを恐れてお前を捨てたが、妻は最期までお前のことを案じていた。……すまなかった、セイジュ。私も既に永遠の魂を失った。当然だ。私には永遠を生きる資格はない。……セイジュ、せめてお前だけは……妻のことを憎まないでやってくれ……」

嗚咽をもらして泣く父親の肩をセイジュがそっと掴んだ。

「…憎んでいません、父さん。……最初から。母さんも……そしてあなたも」

「………っ…セイ…ジュ……!」



神様。

生命は消えてなくなっても、

誰の心にも“永遠”はある。




きっと―――――そうでしょう、神様?