一瞬の沈黙。

やっぱりまずいことを言ったかなと後悔しつつも、私はここで引き下がるわけにいかないと、わざと声を張り上げて明るく誘ってみる。

「ね、お願い!沙希いい子だからさ。1回会ってみるくらいいいでしょ?」

拓ちゃんの小さなため息が電話にかかる音が聞こえたかと思うと

「美月も一緒なら、いいよ」

という、拓ちゃんの一言。

「……は!?」

「美月が紹介してくれるんだろ?なら、お前も来いよ」

いつもよりいじわるな口調の拓ちゃんに、私は渋々承諾した。

ちょっと意地悪なところもあるけど、心根は優しい拓ちゃん。

なのに今日はなんだか言葉の端にトゲを感じて、それ以上何も言えなくなった。

拓ちゃん、私、何かした?


快晴の日曜日の遊園地。

拓ちゃんと、沙希と、お邪魔虫の私が3人一緒に遊園地の門をくぐる。

あの電話以来なんとなく気まづくなった私と拓ちゃん。

あれからなんとなく避けられてる気がして、私からも話しかけられず、あの電話以来ちゃんと話すのは初めてだった。

沙希にはいい頃合を見計らって、私がわざと迷子になりいなくなるというシナリオを伝えてある。

問題はそのタイミングだった。

私は普段はほとんど持ち合わせていない注意深さを発揮しようと二人をじっと観察する。