とても小さな小さな女の子が、わたしのスカートの裾をむんずと掴んでいた。

黒く長い髪に、子供にしては意志の強そうな黒い瞳。

真っ赤なワンピースに胸元に三日月のペンダント。

……まるで月野いずみさんのミニチュアみたいだ。

いずみさんを思い出してクスリと笑ったわたしを女の子が思い切り睨みつけてきた。

そして両手を腰に立てると、強気な口調で言い放った。

「子供だからってバカにしないでほしいわ。これでも美月。今のあなたよりはわたしの方が能力は上よ」

言われていることがわからなくて、わたしはきょとんと女の子を見下ろした。

「ね、ねぇ…なんでわたしの名前知ってるの?能力ってなんのこと?」

それを聞いて片手で頭を押さえる女の子にますます戸惑ってしまう。

「…美月、まだわからないのか?彼女は“月野いずみ”だ。実体を地球に置いて、魂だけこちらへ来たのだろう」

「つ、月野いずみさん!?こ、この子供が!?」

まじまじと見つめるわたしを見て、彼女は呆れたようにため息をついた。

「まだ月の一族も見分けられないあなたに子供呼ばわりは心外ね。4歳の体だって充分に役に立てるわよ。全く…鈍感なところは加奈にそっくりね」