慌ててセイジュの肩をつかむ。

彼は小さくため息をつくと、果てしなく続いているように見える草原の先を見据えて言った。

「ファントムによって隠されてしまった彼女の魂を見つけるには、彼女のわずかなエナジーをも感じ取れる者が必要だ。彼女の、カナンのガードがここにいればそれも可能だが…」

…ママのガード、つまり守護天使はパパと、亡くなった瑞樹という人と、月野いずみさんに香織さんくらいしかいない。

……今頃心配しているだろうなと、パパのことを思い出し胸が痛んだ。

ここに来る直前にわたしの前に現れて、消えていくわたしを見て驚いていたパパ。

パパも一緒に来たかったに違いない。

ママのことを誰よりも愛しているのは、パパなんだから……。

少し物思いにふけっていたわたしのスカートの裾を引っ張る感覚に、思わずセイジュを見上げた。

「セ、セイジュ!?ちょっとスカート引っ張らないでよ…!」

睨みつけるわたしをセイジュが涼しい顔で見下ろす。

「なに言ってんだ?オレの手はここだけど?」

両手をわたしの前に差し出して見せるセイジュ。

「…え…!?じゃ、じゃあ…」

「失礼ね、美月。わたしが見えないの?」

「!?」

足元から聞こえる幼い声は、少なからずも怒っているようだった。

「…こ、子供!?」