意識を取り戻し、何をしていたのか覚えていないという沙希を家まで送り届け、わたしはやっと我が家に戻ってきた。

今日も仕事かと思っていたパパは、めずらしく家でわたしを待っていた。

「パパ、めずらしいのね、家にいるなんて」

明るく声をかけたわたしに、パパは真剣な面持ちで答えた。

「美月、月野いずみのところへ行ったろう?」

「……パパ」

こちらから言うつもりだったけど、思いもかけず出てきたパパのセリフに、わたしは驚いてコクンとただ頷いた。

パパは、小さくため息をつく。

「パパも、いずみには相談していた。でも、セイジュくんのことは、言っておいて欲しかったな」

少し、厳しい口調でわたしを諌めるパパ。

「……ごめんなさい。パパには、ママのこと以外で心配かけたくなかったの」

パパはわたしの頭にそっと手を置き、今度は囁くように言った。

「美月、これは君だけの問題じゃないはずだ。ママだって、絶対に怒る」

……ほんとに、そうだ。

「うん、ごめんなさい。パパ…」

そうだね、ママならきっと、怒る。

クシャっとわたしの髪を撫でたパパの腕を掴んで、わたしは涙を流した。

パパには、なんでもお見通しだ。

………小さい頃から、ずっと。