息をしようとなんとかセイジュの胸から顔を離し保健室の中をちらりと見ると、蒼の霧が保健室一面に漂っていた。

それは、まさに。


蒼の花が一面に咲き乱れる花畑。


美しい蒼の花が一面に漂う蒼幻の世界。


「き…れい」

思わず、口にしていた。

一心に私を見つめる視線を感じて見上げると、そこにはセイジュの蒼の雨のように輝く瞳があった。

「美…月」

ドクン!!

私の名を呼ぶ声と、彼の蒼の儚げな瞳が、私の心に無理やり押し入り大きな音をたてた。

どうして…?

セイジュは私の表情をみてハッとしたように瞳を見開いたかと思うと一瞬苦しみの表情を浮かべ、瞳を閉じた。

少しして。

再び開かれるセイジュの瞳。

やり場のない気持ちに不安感を覚えながらセイジュを見つめ続ける私の目の前で、セイジュの瞳はどんどん黒の瞳に戻っていく。

それと同時に蒼の霧も徐々に消えていき、気がつくともとの平常な保健室に戻っていた。