拓ちゃんの後姿を黙って見送った私。

でも一部始終を目撃していた舞は黙っていてはくれず、説明に一苦労だった。

セイジュとの関係を聞きたがる舞に、あれはセイジュの冗談だったと説明したけど、ちゃんと納得してくれたかどうか…。

セイジュは、あれから何かを言ってくることもなく、私もこれ以上教室で騒ぎになりたくない一心でセイジュとの接触を避けた。

セイジュは何をしようとしているんだろう。

わからなくて不安は膨らんでいくけれど。

授業中も窓の外を眺めてばかりいたセイジュ。

隣の席のセイジュを気にしながら今日1日をやり過ごした。

聞きたいことはいっぱいあるけれど…。

セイジュがここにいることは私に対してなにか意図があってのことだとわかっているし、これ以上そのことについて聞く気はなくなっていた。

ただ、あのことだけは。

ミラージュムーンにいるというママ。

セイジュがママを連れ去ったのなら、これはママを連れ戻す絶好のチャンスだ。

聞きたいのは、一つだけ。

ママを連れ戻す方法だ。