普段はあまり興奮しない舞がめずらしく興奮した様子で目を見開いていた。

「沙希が泣いたって?何かあったの?」

そう言いながら私は沙希と拓ちゃんのデートを結果的に邪魔してしまったことを思い出した。

「昨日、久遠くんと沙希のデートだったんでしょ?沙希何も言わないけど久遠くんと何かあったみたいなんだよね。美月、久遠くんから何か言われた?」

そういえば今日はまだ沙希の顔を見ていない。

沙希は好きになったら一途なとこがあるから、今はきっと拓ちゃん一すじなんだよね。

「何も言われてないけど、昨日は私のせいでデート途中でだめになっちゃったから、私謝ってくるよ」

そう言って教室に入ろうとした私を舞が制止する。

「今日は休んでるよ。昨日私が電話した時元気なくてさ」

そういえば、ホームルーム中うわの空で沙希がいなかったことに気づかなかった。

そんなに落ち込んでいるなんて、拓ちゃんが何か言ったとしか思えない。

「私、拓ちゃんに何があったか聞いてみる!」

ぶっきらぼうな拓ちゃんのことだから、何か誤解を与えるようなことをしたのかもしれないし。

そう思いながら教室に戻った私の目に飛び込んできたのは、窓際の壁に寄りかかってこっちを眺めているセイジュだった。

こっちにも問題があったんだっけ……。