ミズキ。

ママが愛したという彼の名前と同じ音をもった私の名前。

パパは私の名を呼ぶたびに彼を思い出したのだろうか。

「パパ、そんなのってないよ。それじゃ、パパがあんまりにもかわいそうじゃない……!」

「美月、パパは間違いなく、幸せだよ」

そう言ったパパの瞳はさっきの切なさをたたえた瞳ではなく、凛としたママだけを愛する自信に溢れた瞳。

「永遠に愛することができる相手がいる。それがパパの幸せだ」

パパは口の端をかすかに上げて、不敵に微笑んだ。

そして、ママの頬に触れるとそっと身を屈めて、ママの額にキスをした。

「パパ……」

涙が自然と溢れてきて、私は両手で口を押さえて、必死でこらえていた。

パパの愛は「本物」だ。

ママ。

ママはパパを愛しているの?

こんなに深い愛をママはどんな気持ちで受け入れたの?

他に愛する人がいるのに……。

パパの想いがあまりに切なくて。

ママ。

話したいことがいっぱいあるの。

私はどうして生まれてきたの?

私は、ママと同じ使命をもって生まれてきたの?

ねぇ、ママ。

今すぐ、会いたい――!