「永遠」。

その言葉を聞いて、私は子供の頃に、ママから何度も聞かされた言葉を思い出していた。

『美月、月見草は、永遠に生まれ変わって、愛しい人を探すの』

永遠に生まれ変わる。

あれは、花の事ではなく、私たちのこと!!

「オレ達月の一族は、永遠の魂をもっている。その魂を滅ぼそうとする一族もいたが、加奈を深く愛する一人の男の犠牲によって、オレ達は救われた」

「ママを深く愛した人?」

パパは立ち上がって窓のカーテンを少し開けると、闇夜に浮かび上がる満月を見上げ、目を細めた。

「天使のように自分の命も顧みずに加奈を愛し続けた男。そして、加奈も深く愛した、いや、今も愛し続けている男だ」

「うそ!!」

私はパパの言葉が信じられずに思わず立ち上がって叫んだ。

信じられない。

月の一族の話よりも何よりも、ママがパパ以外の人を愛しているなんて。

パパはくしゃっとカーテンを握り締めると、私を振り返って切なさを浮かべた瞳で笑った。

「美月、お前の名前は彼からとったんだよ」

「私の、名前が?」

パパの声、少し震えている。

「瑞々しい樹と書いて、瑞樹。それが彼の名前だった」