誰も、触れることのできない……女神。

自分のことなのに、わたしは他人事のように哀れに思った。

もしも。

もしも今、わたしが誰にも触れられない、触れてもらえないとしたら。

――――それは、どんなにか孤独だろう――――……………?

横に感じる彼の気配に、わたしはそっと、気取られないように心を寄せた。

なぜだろう?

セイジュの気配を感じていると、ほっとする。

触れていないのに、触れている気がする。

心が――――安らぐ。

ふと、彼の心が、“この胸”の中にある……という想いが、昇りつめた陽光のように溢れだしてきた。



――――――――………………なぜ………………!?





独りでに体が動き出すように。

わたしはセイジュの右手をそっと取った。

「……美月……」

セイジュが蒼い瞳の奥深くから、わたしを見つめ返す。

まるで、“心”を贈り返すように。

「…ここに、セイジュの“心”がある」

セイジュの右手をわたしの胸に押し当てる。

わたしの心臓の音が直に彼に響くその場所に。

彼は一瞬、微かに瞳を見開いた。

でもすぐにわたしを見つめる瞳の力を強める。

そして、彼は、わたしと同じ“心”を口にした。