「…違う…」

「…美月…どうした?」

「違うの…彼は…そんなんじゃなかった……!」

じっとわたしを見つめる蒼の瞳に応えるようにわたしは言った。

「…あなたはずっと…そんなわたしの気持ちすら見守ってくれていた。ママの愛したモノ全てを愛してくれていた。あなたはずっと……こんな暗闇のなかでっ―――!!」

泣き叫ぶわたしを見て、瑞樹の表情が微かに動いた気がした。



「…そこまでだ。カイン」


その声は、まるで闇をまとったように孤独だった。

「カナンを還してもらおう」

漆黒の髪に、長身のしなやかな肢体。

紫の瞳が鋭く瑞樹を突き刺す。

紫のオーラをまとって現れた彼は、ゆっくりと瑞樹に剣を差し向けた。

「月の女神カナン。彼女の“永遠”は、誰にも奪えない。…この“闇の天使”がいる限り」




「……紫貴――――――――――!!!」





いずみさんの悲鳴とともに、彼は、




―――――――剣を振りかざした………!