白昼夢


とぼとぼ歩きながら、ハルは泣いていた。

なんで泣いてるの私…。もう!


「…ハル!」
後ろから誰かに呼ばれた。

ハルの異変に気づいたアキトが追いかけて来たのだった。


やばいっ!泣いてるのバレる…!!!

ハルは急いで涙を拭い、平然を装った。

「どうしたん??」
わざと高いトーンで答える。

「お前…、顔の墨取ってないやん。」

「……あーーーー!!恥ずかしっ!!!家戻る……」

アキトがハルを抱きしめた。

「アキト…!誰かに見られるからっ!」

「誰もいないから。」

「や…あの…。」

アキトがキスをしてきた。
それも、いつもよりも長い、濃厚なキス。

「ん…だめ…ほんと…に…。」

やっとアキトの唇が離れた。

「なんで泣いてた?」

「え?」

「どうせ、暗い妄想とかしてたんやろ?」

「…そんなこと…!」

「とりあえず俺ん家戻ろう、んで顔洗って。」