ユイは持ち前の美貌と明るさで次々と男性客を店へと連れて行った。

ハルは、宣伝するだけだった。

元々宣伝や勧誘のようなものが苦手なハルは販売に戻りたくて仕方なかった。


ハルが誰かと替わってもらおうとしたとき

「どこ行くん?」

アキトがハルの腕を掴んだ。

「あー私宣伝向いてないし、誰かに替わってもらった方が…ねぇ。」

「逃げるんや?」

「別に逃げてるわけちゃうよ。でも人には向き不向きがあって、わ「お前がやれよ。」」

アキトは掴んでいたハルの腕を更に力を強めて、離さんばかりだった。

「…俺が何を言いたいのか分かるよな?」

「うん、わかるよ。苦手なこと、辛いことから逃げ出すなってことやろ?」


アキトは本当に私のことをよく見てくれている。
そしていつも支えてくれるし、助言もしてくれる。

決して人を甘やかさずに、自力で頑張れるように配慮してくれる。



「ご名答。」
アキトはニコッと微笑み、ハルの頭をくしゃっと撫でた。