始業式も終わり、既に二ヶ月が過ぎようとしていた。

そろそろ、夏季大会に向けて本気で練習に励まなければならなくなってくる。
そして、今日は久しぶりの部活の日であった。


「雪那ぁー!ふみのんからお呼びだしーっ!」


クラスで仲良くなった女子から呼ばれて振り向くと、ドアの横でニコニコしている文乃と目が合った。


「文乃!」

「雪那ぁ〜!」


おひさ〜とか言いながらベタベタし始めるアタシ達。

ちなみに文乃は不良の頭の彼女でありながら、アタシら"瑞三テニス部"の部長をやっている。
見た目はかなりチャラいが…今となってはテニ部一の信頼できる、親友だ。


「そーいや、この前たっちゃんと会ったよ」

「あ、うん!たっちゃんね…最近はずっと学校きてるんだぁ〜//」


そういってデレデレする文乃。たっちゃんとくると、こうも性格が変わるところも案外爆笑ものだが。


「はいはい…、で。今日は何の用っすか、ぶちょー」

「あ、はい。えっと、今日の部活は三年のみ、再登校で三中コートでやります。
なので、三年は再登校して三中コートに集合です!」

「了解、ありがとっ」

「あいよ〜、じゃ、文乃はこれで失礼しまぁす」

「うん、ばいばい」

「ばいばぁ〜い」


独特の甲高い声で用件だけを伝えると、去っていった文乃。

その何秒か後、廊下からは男子に遊ばれている文乃の嬉しそうな、迷惑そうな、そんな声が響いていた。