『里衣』
沈黙のあと、里衣が俺の隣に歩み寄ってきた。
『ダメだよね。あたしたち、このままじゃ』
とうとう、愛想つかされたかな。
俺は別れの言葉を言われるのを、覚悟した。
『あたしの話、聴いて』
『あぁ』
『佐久間とは、委員の仕事してただけだったの。
だけど、いきなり佐久間に好きだって言われて…
ごめんって言っても、本気だって…
何となく、怖くなって帰ろうとしたら、いきなり腕つかまれてキスされた。
すごく、嫌だった』
里衣の目から涙が溢れた。
『凌央じゃない人のキスなんて、体が冷えてくだけで…
すごく、すごく嫌だった』
俺は無意識のうちに、里衣の頬に触れていた。

