遥斗はそう言って教室を出ていった。
その日から、里衣と何日も話さない日が続いた。
心では分かっていても、里衣を見るとあの光景が浮かぶ。
その日は、何となく授業にでたくなくて5時限目は屋上でさぼっていた。
考えるのは、やっぱり里衣とのこと。
里衣が悪くないのは分かってる。
このままじゃいけないことも分かってる。
俺は屋上から町を見下ろしながらため息をついた。
背中の方から、屋上のドアがきしむ音がした。
誰か、来たみたいだ。
『凌央』
聞き慣れた、俺の名前を呼ぶ声に振り返ると
そこには
里衣がいた。

