記憶の片隅に





『お前ら、何してんの?』




体が怒りで勝手に動き出す。





里衣に触れるその指が、嫌だ。




俺は竜生を殴った。




鈍い音がする。





『ふざけんな!』





竜生に馬乗りになるような体制で何度も殴った。





『凌央!!』




遥斗が止めにきて、俺は竜生から離れた。




竜生は口から流れる血を舐めると、言った。




『好きな女にキスして、何が悪い?

お前は、俺のコト殴って気すんだのかよ?? あぁ??』





『…っふざけんな』




まだ竜生を殴ろうとする俺を遥斗が抑える。





『凌央! 落ち着け!!

殴ってもしょうがねぇだろうが!』




頭がイラついて、むしゃくしゃする。