記憶の片隅に





俺たちは、喋りながら数学のプリントを解き続けた。





『遥斗さ、どう思う? 里衣の噂』



方程式を解きながら、問いかける。




『あんなの、デマだろ。

里衣のこと妬んでる奴が流したとかじゃねぇの?


まぁ、竜生は満更でもねぇみたいだけど』





『遥斗もそう思うか?』





『あぁ。 竜生は多分、里衣が好きだよ。

まぁ里衣もあのルックスに、あの性格だもんなぁ。

モテねぇ方がおかしいだろ』






『だよなぁ…』





俺は問題を解く手を休めた。





『まぁ、気にすることねぇだろ』




遥斗も手を止めて、背伸びをした。