記憶の片隅に





『…今日、俺んち来いよ?』





里衣の耳元で言うと、里衣は小さく頷いた。





自転車通学の俺らは二人並んで、道路を走った。




里衣はそのまま、俺んちに来る。




家につくと、中には誰もいなかった。





俺は、里衣を自分の部屋に入れた。




里衣を包むようにして、抱きしめた。





『里衣、ちゃんと大事にするから。 いいか?』





こんなこと聞くのはダサいけど、里衣のことがそれくらい大事だった。





里衣は



『いいよ。凌央だもん』



なんて、かわいいことをまた言った。