ママさんにも報告した。
先生はすぐに病室に来ると、里衣の様態を確認し始めた。
『いいですね。何も問題ありません』
一通り、確認が終わって先生は笑顔でそう言った。
里衣はまだ訳が分からないと言ったような感じだ。
先生と入れ違いに、ママさんが入ってきた。
『里衣…!』
ママさんは里衣をそっと抱きしめた。
『…ママ』
里衣が嬉しそうに言った。
『里衣、良かったな。何の異常もないってよ。
リハビリ頑張って、早く一緒に学校行こうな』
俺がそう言うと、里衣は俺をじっと見つめた。
目を丸くして、不思議な物を見ているかのような瞳だ。
『里衣…?』
言葉を発しない里衣に違和感を覚える。
まるで、今日初めて話したみたいに思える。
里衣がゆっくり口を開いた。
『……誰?』
『……え…?』
予想もしていなかった言葉に動揺が隠せない。
『あなたのコト…。どこかで、会ったことありました…?』
『里衣、何言ってるの?
凌央くんよ。中島凌央くん。
あなたの彼氏じゃない』
ママさんも混乱しているみたいだ。

