記憶の片隅に





俺たちは屋上に向かった。



屋上についたころには、6時限目の始まりのチャイムはなり終わっていた。




空が、中庭にいた時よりも大きく、近くに感じた。




『…あたしも、凌央と話したかったの』




フェンスによりかかるように腰をおろした里衣が言った。





『…俺は、まず里衣に謝らなきゃいけない』





『え…?』




里衣が小さく疑問をぶつけてくる。





『俺、里衣の為に別れるみたいな言い方したけど、ホントは違う。

ホントは怖かった。

付き合ってても、里衣の記憶は戻らなくて

いつか…里衣にさよなら言われる時がくるって分かってたから。



里衣に終わりを告げられるより、自分で言った方が傷は浅いと思って…


俺は……弱い。


ごめんな、里衣。

里衣のことなんか、何も考えてやれてなかった』




俺は里衣に謝った。




『…凌央。いいから、顔あげて』



俺は里衣に言われて、顔をあげた。




『ここ、座りなよ』





里衣は自分の隣を差して、そう言った。




俺は里衣の隣に座った。