記憶の片隅に





いつの間にか、5時限目の終了を告げるチャイムがなった。





『俺、戻るわ。
サンキューな、星野』






『うん。凌央くん、いいんだよ。

自分の思う通りに進めばいい。

あたしみたいに、やり直せない訳じゃない。


今を生きるんじゃなくて、今を変えればいい』






『あぁ。進んでみるよ。

じゃぁ』





星野に背を向けて、走り出した。




休み時間の廊下は、人が多い。




俺は、まっすぐ里衣のクラスに向かった。






『里衣!!』





里衣は何人かの友だちと、楽しそうに話していた。




男子も混じっている。




里衣は俺を見て、驚いた顔をした。





『…どうして』






『里衣と話したい』





俺は里衣の手首を優しくつかんだ。





『行こう』





『…待てよ』




里衣と話してた男子が口を挟んできた。





『磯島は俺たちと話してんだろ。

もう、彼氏でもねぇのに何言っ―』






『黙れ』






自分でも分かる程、低い声だった。






『関係ない。 部外者のあんたにどうこう言われる筋合いはねぇ。

俺は、里衣を呼びに来ただけだ』





『凌央…!! もういいよ。


あたし、行くから。

話があるなら聞くから』






里衣は立ち上がった。





『…磯島!』





その男子が呼び止めたけど、里衣は俺と歩き出した。