記憶の片隅に





『星野のモットーは思いつきで行動することなんだろ?

なら、もう一回、会いにいきゃーいいじゃん』





俺がそう言うと、星野は小さく笑った。





『あたしだって、会いに行きたい。

でも、絶対手の届かない所に行っちゃったから。

もう、絶対に…… 会えない…』




星野の声が震えたのは、勘違いじゃなかったと思う。





『まさか、その彼氏って―』





『死んじゃったの。1年前に』





俺が全て言うよりも先に、星野の声が重なった。





『だから、会いに行けない』






『…そっか』





俺にはそれしか言えなかった。





『そんなに暗くならないでよ。

あたしの中で、ちゃんと思い出になってるから。

あたしに出来るのは、今を生きることだけ』






『強いな、星野』






『え?』






『俺なんか、過去ばっか見てる。

記憶の引き出し引いてばっかりで、全然今を見てない。


今は辛いから、幸せな過去ばっかり思い出してる。


俺は、弱い』





自分で自分が情けない。