記憶の片隅に





今を生きる…か。




俺は今多分、過去を見てる。




もう、戻れない過去。



それは、二人にとって当たり前だった日常。





キーンコーンカーンコーン―




5時限目の始まるチャイムがなっても、俺たちは中庭にいた。





俺は、起き上がってあぐらをかいた。



横で、星野はひざを伸ばして座っている。





『あたし、失恋したの』





『え…?』





星野は笑っていたけど、どこか切ない表情だった。





『もう、会えないの…』





『星野、彼氏いたんだ』





『うん。相手は大学生だけどね』




『じゃぁ、知らないはずか』





たしかに、星野も大人っぽいから、大学生と一緒にいても違和感はない。






『すごく、大好きだった…。

あたしが弱ってる時には、いつも手を差し出してくれるような…

優しくて、強くて、頼りになって…

あたしを、すごく大切にしてくれてた』





星野は、誇らしげな口調で話し出した。





『それなのに、もう会えないの』




その言葉を言う星野は、口元は笑ってるのに、今にも泣きだしそうだった。