病院に着くと、ガラス張りになった手術室の中に里衣が眠っていた。





『凌央くん…!』





ママさんが俺を見つけて、名前を呼んだ。




目は涙でグチャグチャだった。




『里衣は…』





俺が聞くよりも先にママさんが声を震わせながら話した。





『凌央くんと、別れた後に大通りを通って帰ってきたらしいのよ…


普通に歩道を歩いてたんだけど、脇見運転してた車が里衣に突っ込んできて…こんな…状態に……』





『もう、分かりました。無理しないで座ってて下さい。

里衣はきっと、目を覚まします』




そして、今の状況にある。




俺はただ願うしかできなかった…




その時、緊急手術室のランプがふ、と消えた。




自動ドアが開いて、医者が出てきた。




俺とママさんは医者に駆け寄った。




『里衣は……!?』





『お母さん、落ち着いて下さい。一命はとりとめました。

後は、意識が戻るのを待つだけです。


しかし…、一度、心臓が止まった状態になり脳の働きも止まってしまったため、後遺症が残る場合があります。


覚悟しておいて下さい』





『…よかったぁ』




ママさんは床に崩れ落ちた。




俺はそれを支えて、里衣が目を覚ますのを待った。