記憶の片隅に





流行りの音楽と共に、リレー選手が入場してくる。





見た感じ、陸部が多い。




男子→女子の順に行われ、男女共に1人200㍍の合計800㍍を争う。




体育祭の中でもけっこう盛り上がる競技だ。




男子の部が始まった。



どのクラスも足の速いやつをそろえて出場させる。




うちのクラスからは遥斗も参加させた。




いつの間にか、もうアンカーだ。



うちのクラスはぶっちぎりで一位だった。




アンカーの遥斗は俺らの座席の前で右手を挙げながら走った。





『いぇー!! 遥斗行けーー!』





俺らのクラスの男子は椅子に乗って、応援している。





女子たちも“香川、かっこいいね”



なんて、話してる。




確かに、走ってる遥斗は男の俺からでもかっこよく見えた。




そのまま、一位で俺らのクラスはゴールした。




男子の退場が終わると、女子のレースの準備が始まった。




里衣がスタート位置に立ってるのが見える。




トップバッターみたいだ。




里衣はバレーはセッターをやっていて上手いと聞いたけど

足が速いかどうかは、よく知らなかった。




『位置について…』




里衣はクラウチングスタートの格好をとった。





『よーい…』





高く腰を上げる。


里衣はまっすぐと前を見ていた。




―パン!




ピストルの音と共に、一斉に走り出した。