記憶の片隅に





女子は転ばずに戻ってきた。




担任が空高く旗を挙げる。




他のクラスも次々にゴールした。



3組と同じぐらいにゴールしたように見えたが、どっちが一位だろうか…。




そして、結果発表。




学年主任が朝礼台のマイクに向かって話し出す。




『ただいまの百足走…一位は…』



全員が祈るポーズをしている。





『………三組!』





三組の人たちが“イエーイ”と叫びながら喜んでいる。





『2位は……二組!』




二位だけど、負けじと大声をあげた。




悔しいけど、2位は頑張れた方だと思う。




俺等は全員でハイタッチしてから退場した。




自分の座席に戻り、プログラムを確認すると、次は代表リレーだ。



俺は、長距離の1500㍍にクラス代表で参加するからリレーには出ない。




休めるから、ラッキーだ。




『凌央、おつかれ』





後ろから声がかかって振り向くと、里衣が立っていた。





『里衣』





『2位、おめでと。 次のリレー出るから見ててね』





『敵だっつーの』





『あ、そっか』




里衣は目を細めて笑った。





『でも…がんばれ。見てるから』




『ありがと。ぢゃぁ行ってくる』




里衣は手をふると、入場門の方に歩いていった。