俺は、どこにでもいる平凡な高校二年生の中島凌央(ナカシマリョオ)。
普通に勉強して、部活して、遊んで、彼女もいる。
平凡だけど、幸せなんだと思う。
悩んだ時には、彼女の笑顔が俺を癒す。
毎日一緒に下校して、休みにはデートもして…
どこにでもいるような、二人。
彼女の名前は磯島里衣(イソシマリイ)。
愛想があって、笑顔がかわいくて…
誰にでも平等で優しい。
中学2年の頃から付き合ってて、けっこう、自慢の彼女だったりする。
今日も…
いつもの様に放課後、里衣のクラスに里衣を迎えに行った。
俺が教室に顔を出すと、嬉しそうに笑って駆け寄ってきた。
『凌央、帰ろっ』
『うん』
正門を出て、いつもの帰り道を笑い合いながら歩いて…
いつもの別れ道で別れた。
『凌央、また明日ね』
そう言ったのに…。
家に着いた時、俺の携帯がなった。
里衣からだったけど、相手は里衣じゃなかった。
里衣の母親。
俺はママさんと呼んでる。
“凌央くん!? 今すぐ総合病院に来てちょうだい! 里衣が…里衣が事故にあったのよ”
頭を殴られたような衝撃が俺の心に、体に広がっていった。