記憶の片隅に





開会式が始まった。




朝礼台には実行委員長が校長に向かって、“宣誓ー”と叫んでいる。



立っているだけでも、汗がにじみ出てきそうだ。




サッカーの試合で慣れてるから、暑いのは得意な方だ。




開会式が終わって、一発目の競技は百足走(ムカデ走)。




クラスの団結力が試される競技。


俺等のクラスが、一番力を入れていた競技だ。




クラス全員の足をロープでつなぐ。




どのクラスも準備は充分だ。




『よーい…!』




学年主任の先生が、ピストルを空に突き上げた。




―パン…!




せーの!のかけ声で一斉にスタートする。




今のところ、どのクラスも順調に足をそろえて走っている。



折り返し地点のコーンの所で、隣のレーンにいた1組が後ろからドミノ倒しに転んだ。




俺等は、順調だ。




男子がゴールして、女子にバトンタッチした。




女子も、快調に走り出す。




『1、2、1、2!』




と、高い掛け声が響く。




今のところ、2位くらいだろうか…




俺は、転ばないことだけを願った。