記憶の片隅に





とうとう、体育祭の日がきた。




実行委員の俺等は皆よりも一時間早く登校した。




俺は里衣と一緒にかいた立て看を飾っていた。




『もうちょい、右!』




立て看を里衣の指示どおりに動かした。





『あー…行き過ぎかも…?』





『どっちだよ…!』





さっきから、右だの左だの言ってくる里衣に俺は笑いながら里衣を振り返った。





『だって、凌央が極端なんだもん…!少しずつ動かせばいぃのに』




『まぁ、いいだろ。こんなもので!』





『んー…。ま、いっか』





里衣がやっと納得したから、俺は踏み台からジャンプして勢いよくおりた。





『任務完了!』




俺はそう言って、里衣に向かって敬礼のポーズをした。




里衣も




『お疲れっ!』




と言って敬礼した。




気付くと、もう登校してきた生徒が自分の応援席に座って準備をしていた。




俺と里衣も自分の応援席に戻るために、別れた。



だんだん気温が上がってきた。



俺はハチマキをまいて、気合いを入れた。




うちの学校は学級対抗だから、クラスの良さが試される。



絶対、優勝してやる…!