記憶の片隅に





その日からも、実行委員の仕事は山ほどあった。




俺と里衣が一緒にいる時間はどんどん増えていった。




あの事があっても、里衣は今までどおりに接してくれた。



だから、俺も普通に里衣と仕事をこなした。




遥斗には、俺と里衣の状況を話した。



里衣が兄貴を好きだったとか、そういうことは言わなかった。




たとえ、遥斗だとしても言う訳にはいかなかった。




俺が里衣にコクったことと、待っていて欲しいと言われたコトだけを教えた。




遥斗は、よく言った!と励ましてくれた。




待っていてほしいは、OKと同じ種類だと遥斗らしいコトを言ってくれた。




俺は、今、すごく充実してる気がする。




里衣と付き合えた訳でもない。


けど、里衣の心の内を聞いても里衣を好きだと思う気持ちは変わらなかった。




むしろ、その気持ちに確信がついた。




俺は、里衣を守りたい。


里衣が強がりじゃなくて、ホントの笑顔になれるように…


俺が楽しませて、笑わせたいと思えた。




俺には、それを支えてくれる親友もいる。




たとえ、里衣が俺を必要としてくれなかったとしても

俺の気持ちは、確かに里衣にあった。


紛れもない、俺の初恋だから。



今は大事にしたいと思えた。