記憶の片隅に





ママとパパが別れて、あたしはママに引き取られた。


で、おにぃはパパに引き取られた。



入学前の春休みに、久しぶりにおにぃに会ったの。


おにぃは中2ですっごく大人っぽく見えた。


あたし、気付いちゃったの。

久しぶりにあって、確信したのかもしれない。


あたしの中で、おにぃはお兄ちゃんじゃなかった。


初恋の人だったんだって。


絶対、叶わない初恋だって分かってたから気付かないふりしてたのに。


おにぃに言われたの。


“俺は、里衣を妹と思ったコトはない。

俺の中で、里衣は特別な女の子だった”



って。



切ない顔でそう言ったの。




あたし、止められなくて…


あたしもだって言っちゃった。



そしたら、流れでおにぃの家に呼ばれて…

家には誰もいなくって…。


そのまま、おにぃに倒されて…

あたし、怖くなったから…

少し暴れたの。


でも、おにぃの力は強くて…


その時にあざが出来た。



何かどうでもよくなっちゃって…

おにぃなら、いいって思って…


しちゃったの。初めて…



でも、おにぃに別れ際に言われたの。



“もう、会わない方がいい。

里衣への想いは、もうとっくに封印したから…

さよなら”




泣きたくなくて、唇かみながらおにぃの後ろ姿をずっと見てた。