記憶の片隅に





空港に着いて、俺は里衣の姿を探した。




見つからなくて、もどかしくて。



ただ、夢中に里衣だけを探した。




ロビーに、遥斗の姿を見つけた。



『遥斗!!』




よく見ると、遥斗の周りには



猪股、篤人さん、優吾の姿があった。





『凌央!!』





『…里衣は…』




息切れしながら、里衣の名前を呼んだ。





『里衣は、たった今、行っちまったよ。

来んの、おせぇよ』






里衣が行ってしまった。




空港のガラス張りの窓から、飛行機が離陸していくのが見えた。





俺はその場にしゃがみこんだ。




目から、涙が溢れ出てきた。





俺は、きっと世界一情けない男だ。