記憶の片隅に





俺は、純香の家に行った。




インターホンを押すと、すぐに純香が出てきた。





『凌央くん』




『ごめん、純香。

俺…』





『速く行ってあげて、里衣ちゃんのとこ。


あたしは、もう十分。

凌央くんから、いっぱい幸せをもらったから。


次は、凌央くんが幸せになって。


あたしは、凌央くんのおかげで強くなれたよ。

もう、同じことは繰り返さない。


いってらっしゃい』






『純香…、ありがとな。


お前も幸せになれよ。


俺より、もっといい男見つけろよ』






『当たり前。

速く、間に合わなくなるよ』






『あぁ、じゃぁな』





俺は純香に手をふって、走り出した。