記憶の片隅に





卒業式当日。




俺は里衣に何も言えないまま、この日を迎えた。




明日、里衣はいなくなる。





皆が、新しい生活にワクワクしていて


皆が、別れを惜しんでいる。





俺だけが、一人だけ取り残されていた。




手にしている卒業証書に重みを感じない。




この学校で、色んな日々を過ごした。




手に入れて、幸せでどうしようもない日々も。



失って、苦しくてどうしようもない日々も。





この場所で、作った想い出もたくさんある。



だけど、後悔が俺を包み込む。




分かってやれなかった。

気付いてやれなかった。




明日、いなくなる君に



何も言えない自分を責めてる。




何が変わる訳でもないのに。