記憶の片隅に






『優吾、もうやめろ』





優吾は何も言わずに、千円札をテーブルに叩きつけて、ファミレスを出た。






『遥斗、留学ってホントかよ』






『お前、ホントに何も知らなかったんだな。


卒業したら、アメリカに行く。


里衣はさ、いつも凌央を一番に考えてたよ。

“あたしが近くにいたら、凌央の幸せを邪魔しちゃう気がする”

って。

多分、里衣はけじめのつもりなんだ。


お前から離れて、無理に忘れようとしてる。


凌央だって、ホントはちっとも忘れてないんだろ?


今だって、里衣のコト心のどっかでは想ってんだろ。


俺は偉そうに言えないけど、多分今の凌央は間違ってる。



よく考えろよ』