帰りのホームルームが終わった後、里衣が俺の教室に来た。
『立て看板、運ぶの手伝ってくれない?』
俺等の係は、装飾係。
主に、体育祭の看板や飾りつけを任されている。
うちの学校は毎年、去年の立て看板の上に白いペンキを重ね塗りして、新しいデザインをかくことになってる。
まずは、一階にある倉庫から四階まで立て看を運ばなくちゃいけない。
俺は里衣と一緒に一階に下りた。
倉庫の中は、かなりほこりっぽかった。
『結構、汚いね…。 まずは、立て看きれいに拭いた方がいいかもね…』
里衣は、ほこりまみれの立て看を見てそう言った。
『あぁ。とりあえず、運ぶか』
俺は里衣が持ちやすいように、立て看を手前に引っ張った。
里衣に、奥の方を持つように頼んで
『せーのっ』
と声をかけた。
立て看は、二人の力でもかなり重かった。
『里衣、大丈夫?』
『……大丈夫』
里衣は苦しそうな声を出した。
『大丈夫そうに思えないけど…?』
『平気っ!凌央とは力の差があるでしょ』
むきになる里衣が可笑しかったのを覚えてる。

