“凌央、また明日ね”
いつもの様に君と笑い合って、いつもの別れ道を曲がったのは
ほんのニ時間くらい前のコト。
けど、今、君は傷だらけで目を閉じている。
耳障りな機械音が俺の心をざわつかせる。
もし…
このまま、目を覚まさなかったら…。
そんな考えが頭を支配する。
緊急手術室のランプが赤く光っている。
その明かりさえも怖いと思う。
俺の隣では、彼女の母親が涙を流していた。
自分にも余裕なんかないはずなのに…
俺は、彼女の母親を励ましていた。
彼女の母親は小さな背中を震えさせて、ただ涙を流すだけ。
その姿にまた胸が痛くなった。
今は医者を信じるしかない。
ただ、祈ることしかできない。
俺は、目を閉じた。
きっと、戻ってくる。
だって、さっきまであんなに笑っていた。
いつもみたいに、バカ話してた。
何も変わらない日を過ごしてた。
大丈夫。
絶対に、死なせたりなんかしない。