今日は、梨花子はサッカー部の練習を見に行ってる。
はるくんと、一緒に帰る約束をしてるみたい。
付き合ってる訳ではないけど、最近二人はいい感じ。
だから、今日は久々に一人で帰ることになる。
今日は、ママにチャリを貸したからバスで来た。
いつもは駐輪場のある、裏門から帰るけど、今日はバス停の近い正門から帰ることにした。
正門を出た瞬間。
『…里衣…??』
誰かに名前を呼ばれた。
懐かしいような、切ないような声。
もう、聞くことはないと思ってた。
あたしは、スローモーションみたいにゆっくり振り返った。
その姿をとらえた瞬間、
あたしの中の感情が、全部溢れた気がした。
『おにぃ…』
そっと呟いた。