記憶の片隅に





『話すよ。

凌央君になら、話せる気がする。


ここじゃあれだから、屋上行かない?

次、社会だし』





社会なら、さぼっても問題はないだろう。




俺たちは、休み時間の間に教室から屋上に場所を移した。





風が肌に当たって冷たい。



でも、ここからの景色は広くて、自由で、きれいで。



どこへでも行けるような錯覚に陥る。




星野は、フェンスに寄りかかるように座った。




俺も少し離れたところに、腰をおろした。




チャイムが鳴る。



グランドからは、体育をやってるクラスのかけ声と、先生の笛の音が聞こえてくる。





星野は、ゆっくりと話を始めた。