記憶の片隅に





次の日、学校で星野に昨日のコトを聞いてみることにした。




『星野、昨日たまたま見かけたんだけどよ…、夜、一緒に歩いてた男って彼氏か?』





『一緒に歩いてた男…、あ…っ』



明らかに星野が動揺した。




星野が焦ったり、動揺したりするのは珍しくて少し驚いた。





『どした?』




『あの人は…、彼氏とかぢゃないの…。

ただの友だちで』





『でも、あいつ高校生ではねぇだろ?

星野、変なことに巻き込まれたりしてねぇか?』





『違うの…。そういうのじゃないの。

篤人はあたしのコト考えて一緒にいてくれるだけなの』





『どういうカンケーなんだよ。

ま、言わなくてもいいけどよ』




なぜか、桂木篤人のことが気になるのは星野と一緒にいたからとかじゃない。



自分でもわかってる。



それは、桂木篤人が里衣の大事な人だったから。




暗闇に陥る程に、大切に思って傷ついた相手だから。