記憶の片隅に





『篤にぃは3つ上だから、今は大学生だと思う。

隣の女、どっかで見たことある気が…』




女?



俺は、今まで気にかけなかった女の存在を確かめた。





『星野…!?』




『そうだ!
凌央のクラスの星野純香だ』





『何で、星野が…?』





『さぁ、どんな知り合いだろうな』




星野は桂木篤人に肩を組まれながら、表情一つ変えずに歩いていた。



桂木篤人も、少し伏し目がちに前を見ながら、ただ、歩いていた。



寄り添うように歩いていても、どこか親密には見えない二人に俺は疑問を感じた。




それでも、信号が青に変わったと同時に自転車を再び走らせた。





家に帰っても、桂木篤人の顔が頭の片隅から離れなかった。